岡山市の中心市街地活性化策に注目!

2013/04/14

山陽新聞 2013/03/08

(↑をクリックして見て下さい)

先週、東京学芸大学の鉄矢悦朗研究室の皆さんに延岡市の中心市街地活性化策を提案してもらおうと、シンポジウム「商店街いいとこさがしby学芸大」を開催したことを書いたが、延岡市に限らず、全国の多くの地方都市では、中心市街地が空洞化し「シャッター通り」と化している。

これまで長年にわたり、いろいろな施策が講じられ、巨額のお金も投じられてきたが、なかなか効果が出ていないのが実態だと思う。

この問題は、モータリゼーション、郊外型店舗との競合、地価の高止まり、駐車場不足、などなど、さまざまな要因が複合的に絡み合って起きている。

何か一つ手を打てば全てが一気に解決するような、単純な問題ではない。交通政策なども含め、総合的且つ粘り強い取組みが必要である。

そんな中、岡山市の活性化策は着実に効果を上げている。

岡山市では、中心市街地を生活の場、特に交通弱者である高齢者の生活の場にすることによって再生しようとしている。

具体的には、中心市街地に限って、民間の事業者が診療所、病院または通所型の介護施設等を併設する「サービス付き高齢者向け住宅」(かつての「高優賃」)を整備する場合に、市が補助する仕組みを2年前に創設した。

事業者を公募し、公平・客観的に審査をして補助する事業者を決定する。

http://www.city.okayama.jp/toshi/jutaku/jutaku_t00014.html

この補助には国の交付金を充てることが可能なので、市の実質的な負担は国庫により一定程度軽減される。

そして、なお且つ、市は、選ばれた事業者には自分で土地を確保してもらうが、その整備場所から入居者が買い物等に行く動線に当たる道路のバリアフリー化や自転車との衝突を防ぐための整備等を責任をもって行うという支援策も実施することとし、それを予め表明した上で事業者を公募している。

それにより、交通弱者である高齢者の方々が、安心して歩いて買い物に行けるまちとして中心市街地を再生しようというものだ。

この制度をスタートさせてから、実際に、青空駐車場だった土地はサービス付き高齢者住宅として活用され、近所には生鮮食料品の店もできた。

人も動き、土地も動く。

全国のお手本となる取組みだと私は確信している。

 

ただ、実は、このような取組みは、岡山市が政令指定都市になったからこそ実現できた面がある。

もともとサービス付き高齢者住宅への補助事業は、一般市町村の所管ではなく、原則として都道府県庁の仕事である。

また国道や県道の歩道のバリアフリー化等も、一般市町村内では国(国交省)か都道府県庁の仕事である。

だから、一般の市町村が同じようなことをやろうと思うと、国交省や県庁にお願いして箇所付けしてもらったり、財源を優先的に配分してもらわなければならないが、県庁が特定の市町村の特定のエリアに財源を重点配分するのはなかなか難しい。

ところが、政令指定都市なら、制度上、県庁並みの権限と財源を持てるので、県庁にお願いしなくても、自らが決定し自ら実行できる。

このように、実は効果的な中心市街地活性化策が実行されるためには、関係する全ての権限、財源、そして責任を行政の最前線である市町村に移す、つまり地方分権が必要なのである。

安倍政権は、国から地方への財源面での分権については、地方分権改革を後退させてしまっているが、都道府県庁から市町村への権限の移譲には積極的に取り組もうとしているようだ。

(今朝の報道で教員人事権の政令市・中核市への移譲等の動きが報じられていた。)

ただ、中心市街地活性化の問題を考えてみても、さらなる財源・権限を地方、特に最前線の市町村に移譲していくことがきわめて重要である。

今日、上述(↑)の新聞記事をかつて岡山市で一緒に頑張ってきた仲間が送ってくれた。

優秀で強い使命感を持った仲間達と出会い、同志として共に仕事ができたことが本当にありがたい。このご縁は私の一生の宝物である。自分がいかに幸せで、いかに恵まれているかを改めて認識し、感謝の気持ちで一杯である。