安倍政権で地方分権改革は後退か?

2013/03/10

安倍政権になって、地方分権改革が後退しているかのような動きが見られます。

例えば、総理の所信演説で地方分権について全く触れないなんてことは、ここ最近、一度もなかったんじゃないでしょうか?

また、先月の21日の参議院予算委員会で片山虎之助参院議員も厳しく追及していましたが、現政権の来年度当初予算における姿勢については、関西学院大学の小西砂千夫先生がここでわかりやすく解説されています。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/146822.html

よく「地方自治は民主主義の学校」と言われますが、そもそも地方分権とは、住民の身近な所でワンストップ的・トータル的に「お役所」の意思決定が行われるような「国のかたち」を作ることです。

それにより、日本全体を、自らの地域のことにその地域の自治体・議会、ひいては住民自らが責任を持つ国・持てる国にすることが実現できます。

現状では、いろいろと問題があったり、起きたりしても、それが国の役所の責任なのか、都道府県の責任なのか、市町村の責任なのか、国民にはわかりません。

その結果、日本全体が、誰も責任を持たない国、「お任せ民主主義」の国、「文句ばかり言って、権利ばかり主張して、犯人さがしには熱中するけど、義務は誰も果たさない国」にどんどん成り下がってしまいます。

大事な意思決定が現場から遠いところでなされ、しかもその決定内容が的外れなものになってしまっている・・・この現状を変えなければ、映画「踊る大捜査線」の織田裕二の有名なセリフ「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ。」のような極めて嘆かわしい状態にどんどんなってしまいます。

ただでさえお金がない時代、これから消費税を上げなければならないのに、相変わらず細かい事業まで国の本庁・出先とも(会議室)が口を挟み、それぞれの地域の実情に合った地方(現場)の判断が歪められたり、邪魔されたりすることが続けば、限られた財源がどんどん浪費されてしまいます。

そんな余裕は国の政府にも地方自治体にも全くないはずです。

特に、「一括交付金」について、単に廃止して元の国庫補助制度に戻すだけでは、改革の後退、単に時計の針を昔に戻しただけのことです。問題・課題をどう解決するかを真剣に考えるべきなのに、考えること自体をやめて、かつての陳情政治・タテ割り行政・予算使い切り文化に戻してしまって良いのででしょうか。

こんなことでは真の日本の改革・建て直しはできません。改革は、いったん後退させてしまったら、改革前よりももっと悪い状態に陥ってしまうのが世の常です。

将来を見据え、子や孫の世代にどんな日本を残すのか?

国のかたちづくりこそが政府の使命です。経済対策だけやってればいいはずはありません。

政府が、行政改革を進めるとともに、地方分権改革を進め、国の本来の責務である外交、防衛などにもっともっと政府が専念・注力すること。そして、それにより、今までの政権がしなかったこと・中途半端にしかできなかったことにしっかり取り組むことこそを多くの国民は望んでいるはずです。

地方からもどんどん声を上げていかなければなりません。

かつて内閣府の地方分権改革推進室で参事官を務めた私としても、このままの状況が続くことはあまりにも悔しいです。

私も微力ながらできることをやっていきます。