「主権者たる個人の自立」を妨げる「イカサマのカラクリ」 - 拙著「新・日本通鑑2」より

2018/05/27


 

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その7より続きます。
 
 
このように縄文時代を識ると、現代の先進国型社会の誤りが見えてくるのです。
縄文時代をものさしにして、今日の日本社会の悪しき点をあぶり出すことが出来ます。
 
本来、誰もが「衣食住を持続的に確保出来る」社会システムであるべきなのです。
ところが今日の日本社会は、新社会人の大半が、たかだか衣食住の確保ごときに全力を尽くさなければなりません。まだ半人前だということで、低賃金でこき使われます。奴隷同然の処遇・・・・。
幸福度など、まるでお話になりません。婚姻率や出生率が低下し続けていますが、まさに当然の話です。

長い日本の歴史を眺めれば、これは極めて異常なことだと認識すべきでしょう。
縄文時代なら金を出さずとも、またむやみに労働せずとも、衣食住に困ることはありませんでした。
その後の時代も、基本的に家業があり田畑や舟、店舗などの資産があり、或いは雇用が保証され、かつ先祖代々の住居があり、真面目に働きさえすれば最低限生きてゆけるだけの環境が代々保障されていたのです。
日本社会においては長年、それが当たり前でした。
 
「自分が頑張りさえすれば、どんな職業でも自由に選択出来るんだぞ~」
とうそぶき、衣食住という生存に最低限必要な条件すら保障せず、新成人を身ぐるみ一つで社会に放り出す今日の日本社会。・・・・
高等教育を受けていながら、100社近く入社試験を受けてどうにか職にありつき、必死で奴隷奉公しなければ「食」さえ得られない・・・・(^^; 日本的社会思想に照らし合わせると、とんでもない無責任なシステムなのです。
日本国憲法には「生存権」を保障すると書かれていますが、現実の社会システムは全く不完全不十分です。過去のレベルよりも後退していると言わざるを得ません。
 
ですから再度、衣食住の調達コストを下げる、という目標を掲げるべきだと思います。
格安のインチキ食品を量産する、という意味ではありませんよ(笑) 最近は得体のしれない食品が多過ぎますが、そういう話ではありません。
自然の恵みを、ほぼタダで手に入れる』というシステムに回帰する。あるいはなるべくそこに近づける。
それが一番ナチュラルで、かつシンプルだと幸田は考えます。
 
「住」についても、今日の日本はどこか認識がおかしいと感じます。30年以上もローンを組まなければ取得できないというのも変ですが、いざ30年以上かけて支払いが終わってみればすでにボロボロ、というのも奇妙です。
昔は最低限のコストをかけちょこちょこと補修しながら、100年200年と子孫に継承しつつ使用したものです。
今日、高度な建築技術が有りながら、30年でボロボロになるような住居を30年ローンで販売。購入する側もそこに何の疑問も抱かない。実に不思議な話だ、と幸田は感じます。
 
土地の所有権を、大金を払って購入するという認識も、近現代の社会思想に照らし合わせれば間違っていると言えます。
 
土地もまた食同様、自然が与えてくれたリソースです。国民主権の平等社会である以上、土地とは本来、国民全体の共有財産とし公平に利用するか、もしくは個人個人が均等に所有するべき性質のモノである筈です。
運良くご先祖様が土地を所有していた場合のみ、それを継承出来る、という制度はおかしい。近現代の平等思想やリソース配分の原則に適っていません
もし、どうしても所有権を継承したければ、継承する権利に見合った相続税を支払うべきでしょう。そしてその税収は国庫に入るのではなく、新成人に直接均等配分する。これこそがシンプルかつ真っ当なシステムだと考えます。
 
縄文時代の本質、縄文時代の美点を参考にするなら、
「誰もが衣食住に困らない社会システム」
をデザインすべきだと気付きます。それこそが「主権者たる個人の自立」を保障します。誰にも隷属しない、誰からも支配されないための「条件」なのです。
 
一方近現代の社会思想において、国民主権や平等をうたいながら、現実の社会はそうなっていません。主権者たる私達一般市民は何故か政府に支配され、企業に隷属し、経済的不平等を被っています。
その原因を探ると、すでに幾つか述べたような「常識のウソ」が浮かび上がるわけです。 
それらは社会制度設計の欠陥、インチキに起因します。そこを為政者が、教育が、うまく誤魔化し覆い隠しているのです。これが「イカサマのカラクリ」です。
 

  1. 財産は先祖代々所有し続けて当然だ。継承できたり、継承できない『不平等ケース』が在って当然だ。
  2. 能力主義に基づく職業選択の自由が与えられているのだから、成人してから自力で職を探すのは当然だ。継承出来る家業がないヤツは必死で就職口を探せ。
  3. 働かざる者食うべからず。『生きていくために』労働するのは、当然のことだ。
  4. キリキリ働いてビシバシ税金を納めろ。納税は『国民の義務』だ。
  5. 定年までしっかり働け。定年後の家計については、若いうちから自分で対処しておけ。
  6. ・・・・。

 
などと、幾つものインチキ常識をこしらえて、私達一般市民の「幸」や「富」を収奪しているのです。
歴史を識ると、それがいかにデタラメであるかが解ります。実は近現代の社会思想にも適っていないことが解ります。
 
 
その9へ続きます。