「衣食住」が満たされないから「争い」が生じる - 拙著「新・日本通鑑2」より
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その2より続きます。
争いが生じる、平和が侵される最初の要因とは、
「衣食住、とりわけ『食』が不足、欠乏すること」
です。
「衣食住」とは即ち「生存の条件」を意味します。生存の条件が充分満たされないと、人は本能的に危機感を抱きます。そして危機感から逃れるために「争い」が生じるわけです。
「衣食足って礼節を知る」
という言葉があります。衣食住即ち「生存の条件」が満たされているからこそ、「礼節」を識るに至る。礼節を識るからこそ、無用の「争い」が減る。実に、理にかなった格言だと思います。
視点を少々変えると、「幸福」の基礎条件とは「衣食住が満たされていること」でしょう。そして「争い」がないこと。その2つが整ってはじめて、「幸福」が見えてきます。そしてその先に、「平和」があります。
以上を前提に、現代社会を眺めると、如何でしょうか。
衣食住を持続的に満ち足りた状態にするためには、現代社会においては「お金」が必要です。
充分な資産を持ち、そこからの充分な不労所得がある方々ほど、基本的に幸福度が高いのは明らかです。
しかし今日の日本社会の大多数を占める方々は、ほとんど資産を持ちません(なお、幸田は「持ち家」に関して、資を産まない以上「資産ではない」と考えます)
結果、日々長時間の労働を余儀なくされます。その対価として、決して充分とは言えない賃金を得る。それでもってどうにか衣食住を獲得する。そして当然、前者に比べて幸福度が低い。・・・・
そういう、実に解りやすい構図があります。
資産に恵まれた家庭に生まれ、それを相続できた人々はラッキーです。
毎日遊んでいても寝ていても、あるいは体調を崩して働けないような状況に至っても、自然と懐ろに資産収入という形でお金が湧いてきます。常に「生存の条件」が満たされています。
対する、マジョリティである一般の方々はどうでしょうか。
戦後に農地改革があり、また一億総サラリーマン時代が到来しました。その子孫である今日の私達一般市民の大半は、充分な資産の相続に恵まれていません。
そのため事実上の企業奴隷として一生過酷な労働に従事しない限り、衣食住即ち「生存の条件」を満たせないわけです。
ひとたび体調でも崩して働けない状況に陥れば、早速翌日から収入が途絶えます。人生の歯車が狂います。それどころか今日とうとう、終身雇用慣行も実質的に崩壊しました。たとえ労働可能な健康体であっても、ある日突然全てを失う事態に陥るのです。
このように私達の大半は、「生存の条件」が満たされず、常に「危機感を刺激される」状況にあります。
そこに「幸福度の格差」が生じているわけです。日本人の幸福度が極めて低いのは、そのためです。実に単純明快です。
「人は皆、生まれながらにして平等」
と学校で教わりますが、さにあらず。
「人は皆、生まれながらにして『持てる者と持たざる者』という不平等が厳然として存在する」
というのが正しいのです。かつ、それが原因で「幸福度の格差」が生じているのです。
しかしながら学校教育は、
「『平等という虚構』でもって私達一般市民を洗脳し、この社会の本質的問題を覆い隠す」
という役割を果たしています。
さらに付け加えると、
「たくさん勉強して一流大学に入り一流企業に就職し、滅私奉公すれば人生設計が成り立つ」
と「虚構の能力主義」を刷り込み、結果として社会的奴隷を量産しているのです。これは「虚構の上に積み上げた虚構」です。このような「イカサマのカラクリ」が存在するのです。
- 縄文人は『衣食住の持続的な確保』が容易だった。
- だから経済的格差がなかった。身分差らしきものもなかった。
- つまり、皆ほぼ『平等』だったと考えられる。
- だからこそ『幸福』で『平和』だった。
教科書で真っ当な歴史を学ぶ機会が与えられていれば、このような虚構、イカサマにダマされることもなかった筈です。
「『衣食住の持続的な確保』こそが、『幸福』や『平和』の出発点である」
とストレートに認識出来た筈なのです。
今日の日本は「生まれながらにして平等」ではありません。また「能力主義こそがベスト」でもありません。戦後のインチキ歴史教育によって、そこに気付く機会、問題意識を獲得する機会を失っています。
大きな不利益を被っている、と気付くべきです。
その4へ続きます。
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