社会の持続を人口増加に求めるのは是か非か!?

2016/01/26

浦安市の松崎秀樹市長が、
「出産適齢期は18~26歳らしい」
と発言し、ネット上で炎上しているのだとか。
 

【真実を探すブログ】 2016/01/12
“浦安市の松崎秀樹市長「出産適齢期は26歳まで。若い皆さんの子作りに期待」⇒ネット上で賛否両論の炎上に!”

http://saigaijyouhou.com/blog-entry-9544.html

 
日本産科婦人科学会の見解の、引用に過ぎないようです。何か問題でもあるでしょうか。
卵子も老化するそうです。これは厳然たる事実として受け止めざるを得ません。であれば日本産科婦人科学会の言うように、適齢期なるものが指標として存在してしかるべきでしょう。

昔の婚姻、出産は10代半ばでした。歴史上の偉人はことごとく、今日よりずっと若いお母さんから生まれました。
 
今日は単に、為政者の都合により教育期間が引き伸ばされ、社会の都合により「未成年」期間を長めにとっているため、必然的に出産時期が後ろへズレているのです。
加えて、
「労働人口を大幅に増やしたいがため、女性の社会進出を煽った。女性も学校を出たら、当然にして就労するという常識を創出した」
という事情があります。さらに、
「そのため労働力過剰によって一般市民の貧困化に拍車がかかり、社会不安から子作りをためらう状況になっている」
というわけです。だから出産適齢期と実情にギャップが生じています。
 
ですから松崎市長の適齢期発言自体は、なんら不適切ではないわけです。
問題なのは、松崎市長が、
「なぜ出産高齢化が進んでいるのか。なぜ人口減少問題が生じているのか」
に目を向けていない点でしょう。
 
松崎市長発言に反感を持つ方の心情、理解できないわけではありませんが、論点がズレています。適齢期発言そのものではなく、
「なぜ適齢期に出産できないのか。市長ならそこに目を向けて対処せよ」
と主張すべきです。
 
それからもう1点。
松崎市長は、
「人口減少のままで、日本の社会・地域社会は成り立たない」
と発言されているようです。これは今日の一般的な見解でもありますが、明らかに間違っています。
 
歴史を見れば明白です。
高度に成長し繁栄した江戸時代でさえ、その人口は3千万前後と推定されています。今日の4分の1です。
その3千万すら、国土の狭い日本では人口過剰と言われているのです。
 
にも関わらず、今日では1億2千万強に膨れ上がっています。そしてなおも、
「人口が増加し続けなければ社会を維持できない」
と言っているのです。キチガイじみています。
これは要するに「社会の制度設計自体が間違っている」と言わざるを得ません。
 
為政者も財界人も、学者先生方も、それを誰も指摘しません。おかしな話だと幸田は感じます。
 
人口は、増加し続けることもあれば減少し続けることもあります。これは自然の摂理です。
増加し続けたり、減少し続けると途端に社会が傾くような構造、制度設計ではお話になりません。社会とは、
「どんな状況であれ持続可能であること」
というのが制度設計の要件であるはずです。
 
それが出来ていない今日の日本社会は、ハナから欠陥があるわけです。その解決策を、さらなる人口増加に求めるというのは大いに誤っています。制度設計の欠陥に目を向け、今こそそれを見直さなければならないのです。
 
江戸時代は、人口が増えようが減ろうが、きちんと持続可能な社会構造になっていました。
なんでもかんでも「江戸時代を見習え」とは言いません。しかし260年も高度に成長し繁栄したのですから、見習うべきところは謙虚に見習うべきでしょう。そして今日の社会の改善に活かす。これが大事だと思います。
 
松崎市長発言の問題から、そんなことを考えさせられました。
歴史を見れば、歴史と照らし合わせれば、自ずと明らかになることがたくさんあるのです。
 
残念ながら今日の歴史学は、ある種のイデオロギーによって随分歪められています。
江戸時代が「社会を識る教材」として活かされていません。いや歴史教育そのものが破壊され、歴史から何かを学ぶという仕組みそのものがズタボロになっています。
幸田はそこに大きな危機感を抱いています。この、
「歴史から学び、今を考える」
という課題については、今後も引き続き考えていきたいと思います。